【2023年版】Pagesで小説同人誌を作る [メモ・雑記]

10年ほど続けていた以前のブログの古い記事で、ここ数年ひとつだけ、未だに毎日のように一定数のアクセスを稼いでいるものがあります。それが「Pagesで小説同人誌を作る」と題された2019年4月18日付の記事です。

これは当時Mac OSに標準搭載されているワープロソフト「Pages」がようやっと日本語の縦書きに対応しましたよというアップデート直後のことで、喜び勇んで「これで小説同人誌の原稿作れるんじゃね!?」と試してみた顛末でした。

しかし月日は経ち、情報は古くなり、Pagesもまた幾度かアップデートがなされ状況は変わって来ました。なので2019年当時とソフトの手触りもだいぶ変わっていることだろうと思い、2023年版と題して現状での触り心地などを改めて記録して行くことにしました。
(せっかくなので文庫本・A6サイズの小説原稿用ファイルも置いておこうと思います。何でって? そりゃこれを読んでいる人だってまず楽をしたいに違いないでしょう!)




理想の文庫本のレイアウトを真似る

まず、私は自分で小説本を作るとなると「絶対文庫本サイズがいい」と思うくらいには文庫本という存在が好きです。岩波文庫だの、新潮文庫だの……まあ、色々ありますよね。
そしてちょうど手元に2020年8月に実際に小説同人誌を印刷するために使ったファイルがあったので、それをさらに調整しながらやって行こうと思います。

小説本文の原稿を作るにあたって、まず意識したいことは以下の通りです。ほぼ主観です。

・余白と文字数、行数の間隔やバランスが気持ち良いか
・ヘッダー(章タイトル)とフッター(ノンブル)がちゃんと本文の端っこに吸い付くか
・本文は等幅になるか
・句読点のぶら下げ等の禁則処理はあるか、出来るか

一個ずつ見て行くことにしましょう。

【余白と文字数、行数の間隔やバランスが気持ち良いか】
これはかなり個人差があるので何とも言えませんが、私は大抵その時好きな文庫本の余白や文字数・行数などを実際に測って真似するようにしています。

スクリーンショット 2023-07-15 5.10.50.png

パッと見ではこんな感じです。この状態でA6サイズ、1ページ16行、1行40字程度の見開きレイアウトになっています。
「書類」タブでの設定は以下の通り。

・プリンタと用紙サイズ
 プリンタ:任意のプリンタ
 用紙サイズ:その他

・ページの方向
 縦方向にチェックを入れる
 10.50×14.80cm
 
・「縦書きテキスト」にチェックを入れる

・ヘッダ、フッタにチェックを入れる
 上下共に位置は0.63cm
 「書類本文」にチェックを入れる

・書類の余白
 上:1.27cm
 下:1.27cm
 内側:1.6cm
 外側:1cm
 「見開きページ」にチェックを入れる

・「ハイフン処理」「リガチャ」
 特に必要ないと思われるのでチェックは入れない

スクリーンショット 2023-07-15 5.33.09.png

Pagesでは基本的に行数・文字数の指定をカッチリカッチリやることが出来ないので、かなり独特でアバウトかつ直感的な操作が求められます。正直、体裁を整えるだけでもかなり面倒くさいです。
そして折角整えたレイアウトも、フォントを変更しただけで木っ端微塵になることが多々あります。フォントごとに行間が変わったりしてしまうんですよね。本文フォントの選定は最初にしておいた方が良いと思います。

ちなみに私が本文用に今回使っているのは「源暎ちくご明朝」で、フォントサイズは8.5pt、行間は「1.8」にしてあります。

源暎フォント置き場:源暎ちくご明朝
https://okoneya.jp/font/genei-chikumin.html


【ヘッダー(章タイトル)とフッター(ノンブル)がちゃんと本文の端っこに吸い付くか】
これはかなり切実な問題だったりします(私にとっては)。ここがピタッと合っていないと、すごく嫌なんです。
Libre Office Writerなんかもそうなんですが、無料のワープロソフトはこういう所が微妙なやつが本当に多いのです。フラストレーションが一気に溜まります。検証してみましょう。

スクリーンショット 2023-07-15 5.34.59.png

右側の端に見出し(このファイルでは文字装飾に「キャプション」を使用)がある場合ちょっと怪しいが、ギリギリ許容範囲内。恐らくフォントによると思う。

スクリーンショット 2023-07-15 5.37.07.png

ほぼピッタリ。良し。

スクリーンショット 2023-07-15 5.35.49.png

スクリーンショット 2023-07-15 5.40.33.png

左側はほぼピッタリ合っていて大丈夫だ、といった感じ。


【本文は等幅になるか】
これに関しては「等幅フォントを使えば出来そうな気はするが、いわゆるソフトウェア側で制御する原稿用紙モード的なものはない」ようなので、諦めて両端揃えにしてあります。
どうしても文字をカチカチに揃えたかったら、大人しくAdobe税を払って「InDesign」を使うか「縦式」を買った方が何倍も速いですし確実です。
(実際、近年は「縦式(Mac OS版)」で小説本の原稿を作っています)

【句読点のぶら下げ等の禁則処理はあるか、出来るか】
多分出来ないです、未だに。恐らく今後数年出来ないままでしょう。なので大人しくAdobe税を払っ(略)


無料ソフトと有料ソフトの差

残念なことに、これは大いにあります。当たり前と言えば当たり前ですが。では何をもって有料ソフトにお金を払い、そのソフトを使うのかと言うと……要するにそのソフトが持つ「確実性と専門性」にお金を払う、と言うことなんですね。それが巡り巡って作業における快適性につながってくる訳です。

同人誌を刷るにもコピ本と印刷所に頼むのと、ありますよね。それと似たようなものです。
よく文学をやっている人は清貧を尊ぶべし、みたいな風潮があったりなかったりもしますけども。それも趣味の活動となればなおさら仕事じゃあるまいし「ただの趣味なんだから」ランニングコストなんて極力無い方がいいんじゃないの、みたいな見方も世の中にはあります。
自分にとって納得出来る方法をその都度、用途に合わせて選択して行くのがいいんじゃないかなぁと思います。

また縦書き小説等の原稿を作るにあたり、無料か有料かというのもありますが「そのワープロソフトやテキストエディタが国産か否か」というのも非常に重要な部分かと思います。
基本的にアルファベット横書き文化の(海外の)開発者に日本語、しかも縦書きのノウハウを理解しろというのも酷な話ですし、いかに横書きで優秀なエディタであっても縦書きの実装はまずないと考えた方が良いというか、例え実装されたとしても非常に残念な結果になるかの二択です。
ぜひ「日本語ネイティヴ」のエディタを活用することをオススメします。


今回使ったPagesのファイル配布

とりあえず取っ掛かりとしてテンプレート的な物が欲しい・使いたい方のために今回使用したファイルを配布しようと思います。本文の中身は私が以前書いた「Falloutで学ぶ50年代アメリカ:アメリカの宗教観(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19713998)」のテキストがほぼそのまま流し込まれているだけです。適当に中身は消してお使いください。

BOX:pagesで小説同人誌を作る.pages
https://app.box.com/s/f9bc1cyk41d7sl9xcsm9lyl69p3bqhnz

※テンプレートファイルは、自由に加工して各種同人誌印刷・発行用の原稿としてお使い頂けます。
※当方環境においてウィルスチェックなどをした上でファイルを公開・配布していますが、基本的に無保証です。サポート等も行いません。
※テンプレートファイルを利用することによって発生した一切のトラブルについて当方は責任を負えませんので、あらかじめご了承ください。


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